私立進学校は、何教科で何を測るのか  5教科入試という「わかりやすさ」の落とし穴

この記事のテーマ
私立進学校は、入試で何を測るべきなのか。
「5教科化」は本当に大学合格へ直結しているのか。

1月10日、長崎で私立進学校の入試が始まる。星雲高校を皮切りに、今年の高校入試シーズンも本格的に動き出した。

サイトの受験日程一覧を一覧を並べていると、ある違和感がどうしても浮かび上がってくる。

私立進学校は、いったい何教科で、何を測ろうとしているのか。

「5教科で大学合格へ」という分かりやすさ

※見出しは派手でも、実態は「併願校合わせ」の色が濃い。

一昨年、朝日新聞に「私立高も5教科型で大学合格へ」という趣旨の記事が掲載された。

記事で取り上げられていたのは巣鴨高校。国数英の3教科型と、国数英理社の5教科型を併設し、受験生が志望校に合わせて選べるという内容だ。取材に答えた保護者の声も紹介されていた。

  • 「日比谷を受けるので5教科」
  • 「開成や筑駒を受けるので5教科」

一見すると「柔軟で親切な入試制度」に見える。しかし、ここにこそ私立進学校の迷いが透けて見える。

ポイント
これは大学合格のための5教科ではなく、
併願校に合わせた5教科に過ぎない。

学校の教育思想ではなく、受験市場の都合に引っ張られて制度が揺れているように見えるのだ。

大学進学実績を上げたいなら、測るべきは英数

※「万能に見える選抜」より、再現性の高い選抜を優先すべき。

はっきり言ってしまえば、大学進学実績を本気で上げたいなら、入試で測るべき教科は限られている。

英語と数学。
国公立大学でも、医学部でも、難関私大でも、最終的に差がつくのはこの2教科だ。

国語や理科、社会は重要ではない、という話ではない。むしろ逆で、これらは入学後に伸ばせる教科だ。だからこそ、

入試では英数で学力の芯を測り、入学後に5教科へ広げていく。
これが、進学校として一番誠実な設計だと思っている。

実際、難関大学合格者を多数出す進学校や進学塾では、最初に英数を徹底的に完成させるケースがほとんどだ。

少子化時代に必要なのは「迎合」ではなく「尖り」

少子化が進む中、私立高校の生徒募集は年々厳しくなっている。

公立トップ校に寄せる。共通テストに似せる。3教科も5教科も用意する。

一見すると合理的だが、結果として「どんな学校なのか分からない」という状態に陥りやすい。

推薦での青田買いを否定するつもりはない。ただ、それだけでは本当に実力のある層は育たない。

少子化の時代だからこそ、私立進学校はもっと尖るべきだ。

九州の私立は、むしろ割り切っている

※「何を狙い、どこへ送るか」が見えやすい地域でもある。

九州を見渡すと、構図は意外なほどはっきりしている。

私立の双璧はラ・サール高校と久留米大学附設高校。そこに修猷館、鶴丸、熊本といった公立トップ校が続く。

その中で、医学部進学に強い私立として存在感を放っているのが青雲高校だ。

青雲は、英数を軸にした6年一貫教育で、国公立医学部を中心に高い実績を出し続けている。

参考:
青雲高校については、当サイトで以前、進学校分析記事を書いている。
フォーマットが固まる前の記事ではあるが、英数を軸に尖った私立進学校の具体例として参照してほしい。
【進学校分析】青雲高校(長崎県)

募集停止と調査書問題をどう考えるか

最近、PFP上位校の中にも高校募集を停止する学校が目立つようになった。本当にそれでいいのか、という疑問は残る。

また、私立であっても調査書や出席日数を重視する学校は多い。不登校リスクを嫌がる気持ちは理解できるが、一律に排除してしまうのは才能の取りこぼしにつながる。

提案:
調査書を重視しない別枠入試を設けることも、十分に検討に値する。

私立進学校は、入試で思想を語れるか

私立進学校が生き残る道は、公立に似ることでも、共通テストに寄せることでもない。

何を測り、どこへ送り出す学校なのか。

その答えを、入試制度そのもので語れるかどうか。そこが、これからの私立進学校の分かれ目になる。


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