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関西進学校の序列は、今どうなっているのか?
関西の進学校を語るうえで、
「序列」が東京よりも見えにくいという特徴がある。
灘が別格の存在であることに疑いの余地はないが、
その下位層──東大寺・甲陽・洛南・北野・西大和といった
名門校同士の力関係は、年によって大きく変動する。
その背景にあるのが、
進学力を評価する2つの異なる物差し──
PFP(1人あたり進学成果密度)と
AUS(進学成果の総量)の存在だ。
📌 PFPとAUSで異なる“関西トップ校”
例えば2025年のデータでは、
PFPスコア(進学密度)では東大寺・甲陽・大阪星光が上位を占める一方、
AUS(合格者の総合スコア)では洛南・北野・西大和が上位に浮上する。
この“ねじれ構造”こそが、
関西進学校の序列を一見わかりにくくしている原因といえる。
📌 PFP上位校(2025年・関西)
順位 | 学校名 | 所在地 | PFP | AUS |
---|---|---|---|---|
1位 | 灘高校 | 兵庫 | 419.54 | 4489 |
2位 | 東大寺学園 | 奈良 | 344.1 | 3441 |
3位 | 甲陽学院 | 兵庫 | 343.5 | 3418 |
4位 | 大阪星光学院 | 大阪 | 207.8 | 1881 |
5位 | 北野高校 | 大阪 | 207.9 | 3244 |
6位 | 洛南高校 | 京都 | 180.1 | 3612 |
7位 | 西大和学園 | 奈良 | 174.9 | 3166 |
8位 | 洛星高校 | 京都 | 167.6 | 1760 |
📌 洛南高校とは何者か
洛南高校は京都府に位置する私立の中高一貫進学校。
真言宗の伝統を背景に持ち、全国的にも珍しい
中高一貫+高校募集併存型を維持している。
進学指導の中心は京大・国公立医学部志向で、
全国でも屈指のスケール型進学校として知られる。
📌 空クラス・海クラスという内部構造
洛南では「空」「海」といった象徴的なクラス編成が取られており、
中でも空組は最上位の進学クラスに位置づけられている。
授業の進度は内部進学生に追いつくほど速く、
高2以降は一部の生徒が内部進学組と合流して難関大学対策を進める。
一方、海組は標準的な進度で、関関同立を含む幅広い進路に対応している。
模試も、空組は駿台全国模試、海組は全統記述模試と分かれており、
校内で明確な進学層の住み分けが行われているのが特徴だ。
📌 2025年進学実績:量のインパクトが際立つ
- 東京大学:23名(理三1名)
- 京都大学:69名(医医16名)
- 医学部医学科 合格者:104名(国公立59+私立45)
- 卒業生数:401名
特に京大医学部16名という数字は、全国でも数えるほどしか達成できないレベル。
一方で、東大志向はやや控えめで、東大23名は関東進学校と比べると穏当な水準。
それでも国医+京大+阪大の合格者層の厚みは、
洛南を“量”で圧倒する進学校として際立たせている。
📌 勝てる土俵を守る高校
かつて、京都大学への合格者数で日本一に輝いた高校があった。
その名は洛南──京都に根ざし、地元志向を徹底した「関西型の進学校」。
全国の進学校が東大・海外大へと照準を変えていくなか、
洛南は変わらず京大・医学部という“勝てる土俵”に全力を注いできた。
それは挑戦を避けたのではなく、地元を守る覚悟の現れでもある。
空クラスの上位生たちは、内部進学生に食らいつくために、
高校入学と同時に猛スピードで授業を駆け抜ける。
海クラスは自分のペースで学び、関関同立や中堅国公立を目指す。
量で戦い、確実に勝ちを取りに行く進学校──
派手さはない。だが、洛南には、洛南だけの美学がある。
洛南は、何を選び、どこへ向かうのか
京大と医学部を軸に、他を寄せつけない進学実績を積み上げてきた洛南。
規模、伝統、安定感──いずれも全国屈指であり、
“関西の本丸”と呼ぶにふさわしい存在だ。
だが、関西の序列は静かに変わりつつある。
密度で攻める星光、東大に照準を絞る西大和、
新たな地図を書き換えようとする動きが、少しずつ迫っている。
洛南が描く次の10年は、
関西の進学校地図にどんな地形を刻んでいくのか──。
その行方に、今こそ注目が集まっている。
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