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偏差値では見えない──中等教育学校が進学実績で私立名門に迫る日
※本記事は、近年進学実績を伸ばしている中等教育学校について、
独自データと考察を交えて構成した教育分析コラムです。
第1章:進学ランキングに現れた“異変”
「え?これってどこ?」
PFPランキングを集計していたとき、最初に目を引いたのはそんな無名校たちだった。
「東京都立小石川中等教育学校」「岡山県立大安寺中等教育学校」
「海陽中等教育学校」「群馬県立中央中等教育学校」…。
一見すると目立たないが、私立名門にも引けを取らない進学力を持っている。
なぜこんな学校が台頭してきたのか? そのカギは、中等教育学校という制度にある。
第2章:中等教育学校とは──“6年一貫”という武器
2000年代以降に制度化された「中等教育学校」は、
中学+高校を一体型で運営する国公立校である。
都立・県立でも途中の受験を挟まない6年間の教育を提供し、
入学時点で選抜された生徒を長期的に育てる仕組みをもっている。
進学校として有名な「小石川中等教育学校」「並木中等」「中央中等」などが代表例だが、
どれも創立当初はさほど注目されておらず、実績は10年以上かけて築き上げられてきた。
第3章:進学実績で見る“異変”
今回PFPランキングを整理していて最も目立ったのは、
進学実績の高い中等教育学校が全国的に増えているという事実だった。
たとえば、東京都立小石川中等教育学校(PFP135.76)は
青雲学園(138.9)や洗足学園(132.66)とほぼ同等のスコアを記録している。
さらに、岡山の大安寺中等教育学校(95.07)や
愛知の海陽中等教育学校(102.75)といった地方校も、
全国有数の進学校と肩を並べるレベルにまで到達している。
第4章:「公立だから弱い」はもう古い
これまで、進学といえば私立優位というのが常識だった。
だが実際は、中等教育学校がその構造を少しずつ崩しつつある。
東大・京大だけでなく、医学部・旧帝大を中心に、
“確実に受かる層”を公立が育て始めたのだ。
しかも特徴的なのは、「突出した成績の数人」ではなく、「学年全体が底上げ」されている点。
PFPが高いというのは、1人あたりの進学力が高いという意味であり、
私立と同じ土俵で勝負が成立していることを意味している。
第5章:まだ“名門”ではない。でも確実に伸びている
現在、全国の中等教育学校の多くは偏差値的には無名か中堅。
だが、“進学力”という点では、すでに私立上位層と同列の位置にいる学校も出てきた。
小石川や海陽、桐蔭中等、並木、相模原、中央中等…。
名門とは言えなくても、データは確実に彼らの健闘を証明している。
もはや「知られていないからすごくない」という時代ではない。
PFPスコアのように数値で見える指標を通じて、
これらの新勢力は着実に“実力校”として浮上しているのだ。
最後に
かつての中高一貫校=私立という図式は、少しずつ変わり始めている。
そして今、新しい勝ち方をする“中等教育学校”の存在が、
日本の高校教育に新たな構図をもたらしつつある。
本当に強い学校とは何か?
偏差値か、知名度か、それとも進学実績か。
答えは、数字の中にある。
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